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北海道東川町の農業生産法人が産業用大麻の試験栽培

北海道東川町の農業生産法人が産業用大麻の試験栽培

TPP見据え試験栽培

東川町の農業生産法人が、今月から産業用大麻の試験栽培に乗り出した。品種改良により麻薬成分をほとんど含まず、海外では繊維素材や住宅用建材などに幅広く活用されているといい、関係者は「将来、道の基幹作物に育てたい」と抱負を語る。環太平洋経済連携協定(TPP)の日米実質合意など農業を取り巻く環境の変化をにらんだ「攻め」の取り組みとして注目されそうだ。
(田中雅之、平田舞)

東川町の農業生産法人

試験栽培を始めたのは農業生産法人「松家農園」社長の松家源一さん(65)と、元道上川農業試験場長の菊地治己さん(63)(旭川市)。

菊地さんが産業用大麻に興味を持ったのは、2001年頃、北見市で地元の特産物にしようと活動する民間研究会を知ったのがきっかけだった。上川農試勤務時に「ゆめぴりか」の開発に携わり、「『まずい』と言われていた道産米が改良され、おいしいと言われるようになった。有効活用されていない産業用大麻も日の当たる存在にできるはず」と力を込める。

松家さんは昨冬、カナダなどで販売されている産業用大麻の実を使った健康食品を製造、販売しようと、産業用大麻の栽培免許の取得を菊地さんに相談。2人で1年がかりで準備し、3月、道から大麻の研究者用免許を取得した。

試験栽培は松家さんの農園約0・22ヘクタールで行われる。すでに育苗用ポットへの種まきを行っており、5月中旬から定植を始める。産業用大麻が栽培されている栃木県の農家からノウハウを学び、町内の業者に依頼して茎などから断熱材と炭を試作。3~5年間は試験栽培と試作を繰り返し、栽培や加工方法のほか、需要も調べる。

菊地さんは「TPPなどで道内農業への影響が懸念される中、期待が持てる作物。(危険な薬物とは異なることについて)理解を得ながら研究を進めていきたい」と話している。

道内では、すでに北見市の農業生産法人「香遊生活」の舟山秀太郎社長(63)が2005年に栽培用免許を取得し、翌06年から試験栽培を行っている。作付面積は0・03ヘクタール程度で、収穫した産業用大麻はしっくいの素材などに活用しているという。舟山社長は「専門家が試験栽培に加わってくれるのはありがたい。互いに情報交換をしながら連携していきたい」と期待を寄せている。

道も予算化

道も5月中旬以降、産業用大麻の試験栽培をスタートさせる。2014年度当初予算に関係経費約200万円を盛り込んでおり、産業用大麻の栽培が盛んな栃木県から種を購入し、3年計画で寒冷地で栽培が可能なのかなどについて調査研究する。担当者は「民間とも情報を共有しながら研究を進めたい」と話す。

ただ、産業用大麻の試験栽培を巡っては、道が昨年設置した「道産業用大麻可能性検討会」の会合で、野生大麻との交雑の可能性を懸念する声や、危険な薬物と異なる品種改良された種類であることを道民に周知するよう求める意見などが出ている。

栃木県によると、同県内では無毒性品種の「とちぎしろ」が栽培され、神社のしめ縄や大相撲の横綱の化粧まわしなどが作られている。交雑対策として毎年夏、農場で栽培された産業用大麻の成分検査を実施。これまでに有毒成分は検出されていないが、見つかれば、関係する農場のすべての大麻を処分する方針という。県の担当者は「栃木県は野生の大麻が少ない。北海道に多いのであれば、検査態勢をしっかり確立する必要がある」と指摘している。

産業用大麻、栽培面積の9割が栃木県

幻覚作用などを起こす成分をほとんど含まない大麻。厚生労働省によると、いずれも2013年12月末現在で、栽培面積が全国計5・9ヘクタール、うち栃木県が5・2ヘクタールと9割近くを占める。栽培には都道府県知事による免許が必要。免許取得者は12道県計51人で、うち同県が最多の21人。

読売新聞

【読売新聞 2014年5月14日】


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