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鳥取の町おこし大麻栽培者逮捕事件に見る法律と制度の矛盾

鳥取の町おこし大麻栽培者逮捕事件に見る法律と制度の矛盾

3年前から鳥取県智頭町で行政の支援を受けて町おこしのために大麻草を栽培し種や茎から食品や衣類を作る会社「八十八や」を営んでいた上野俊彦氏らが大麻取締法違反の疑いで逮捕されたが、この事件によって我が国の法律や制度の様々な矛盾点があぶり出されてきている。


我が国の法律では大麻に含まれるTHCが麻薬成分であるとされており、大麻草を栽培する場合は産業目的に限り審査によって栽培許可を与えることになっている。
THCが麻薬成分なのかどうかという解説等は他のページで展開しているのでここでは割愛するが、大麻草の種類によってはTHCをほとんど含んでいないものもある。

トチギシロは俗に「無毒大麻」と呼ばれるほどTHCの含有量が少ない産業用大麻である。
大麻は麻繊維製品の原料などとして日本では古くから栽培されてきた植物であるが、大麻取締法制定以降、栽培農家では盗難などの問題に悩まされていた。この問題を解決するため、栃木県衛生研究所(現栃木県保健環境センター)と栃木県農業試験場が協力して研究開発したのがトチギシロである。

ケシの種類にも有毒といわれるものと無毒といわれるのものとがあり、ポピーとも呼ばれているヒナゲシは無毒である。
有毒のケシを栽培するためには許可を必要とするが、当然のことながらポピーを栽培するのに許可は不要である。

ケシ

ところが、日本ではなぜか大麻草の場合はトチギシロであっても栽培に許可を必要とし、栽培者は第三者が畑の中に入ってそれを持ち出すことのないように厳重に管理しなければならないのだ。

トチギシロ

さらに今回の件に対しては、鳥取県や厚労省の対応が不可解である。

上野容疑者が県の栽培許可を得ていたのは、麻薬成分がほとんど入っていない産業用の大麻で、麻薬取締部は逮捕時に所持していた大麻は栽培していた大麻とは別のものとみて鑑定を進めている。
【10月17日 産経ニュース】

調べに上野容疑者は「他人からもらって自分で使っていた」と供述。従業員2人は「使用するために持っていた」といずれも容疑を認めている。同容疑者や従業員が所持していた大麻は、栽培していたものとは別のものとみられる。
【10月18日 Sponichi Annex 】

鳥取県智頭町の大麻関連商品販売会社代表の上野俊彦容疑者らが大麻取締法違反(所持)容疑で逮捕された事件を受け、同県の平井伸治知事は19日の定例会見で、県内で大麻栽培を全面的に禁止する方針を明らかにした。関係条例を改正し、毒性が低い産業用大麻も栽培できないようにする。
平井知事は「いくら許可条件をつけても、すり抜けられる。包括的に禁止する以外、同様の事態の発生は防ぎようがない」と述べた。
【10月19日 朝日新聞デジタル】

厚労省は近く都道府県に、栽培許可が適正かどうか確認するよう通知を出す方針。
【10月17日 毎日新聞】

上野氏はトチギシロとは違う種類の大麻を他人からもらって逮捕されたのであり、自分で栽培していたわけではない。
しかし、この事件を受けて、鳥取県知事は再発防止のために県内での産業目的の大麻の栽培を一切禁止し、厚労省は都道府県に対して栽培許可に対する基準を厳格化するように指示するというのだ。

この出来事を、ケシに置き換えて例えてみよう。

『某県で町おこしのためにポピーの栽培をしていた男が他人からソムニフェルムという違法なケシをもらって逮捕されたため、県知事は県内でのポピー栽培を全面的に禁止することにした。また、厚労省は近く都道府県に、ポピーを自宅の花壇などに植えている国民が適正かどうか確認するように通知を出す方針である。』

・・・こういうことになる。

大麻に関しては我が国の法律や制度や行政対応に理論的な矛盾が多い。
戦前には国家が栽培を奨励していた大麻が、戦後に一転して目の敵にされるようになった理由をこの機会に考えてみたいものである。

“昭恵人脈”の危険性…大麻所持で逮捕の栽培家を町おこしで支援表明していた
上野俊彦容疑者らが、厚生労働省中国四国厚生局麻薬取締部に大麻取締法違反(所持)の疑いで逮捕されていたことが発覚し、首相官邸も揺れている。
【東スポ 10月19日】

この上野容疑者の大麻栽培・加工販売を高く評価し、メディアを通して宣伝していたのが昭恵夫人なのである。
【リテラ 10月18日】

本件の舞台となった大麻畑には、安倍昭恵夫人が訪問し支援表明をしていた。
さらに、新党改革が高樹沙耶氏を擁立して医療大麻の研究推進を公約に掲げて参議院選を戦うなど、最近はポジティブな意味で大麻が国内で話題になっていた。
今回はそのようなタイミングで起きた事件であり、これに乗じて一部メディアが官邸や昭恵夫人に対するネガティブキャンペーンを始めている。

(やしろたかひろ)


山本医療大麻裁判 -大麻で末期がんが回復したが逮捕された事件

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